都合のいい事だけ覚えていこう

なんの役にも立たない私の戯れ言。育児日記という名の備忘録

赤ん坊の演技力と試される母の愛

この世にぽん、と飛び出てきてまだ70日ほどしか経っていない我が家の息子くん。

しかしこのたった70日で、彼はものすごいスピードで成長していやがるのだ。

体重は2ヶ月で約2倍になった(自分で考えたら恐ろしい・・・)

ほっぺや腕や足がむちむちしてきた。

最初はお腹が空いたら泣いて、おっぱい飲んでおむつ変えたらひたすら泣くか寝てるだけだった彼は、

起きてる時間も長くなり、泣き声も、ビビるくらいでかくなりバリエーションも出てきた。

お腹が空いた以外の自分の要求を言い出し、そして目が合うとずいぶん笑うようになった。

 

そんなある日、私はふと思った。

 

この赤ん坊という生き物は

自分が可愛い生き物だという事を、実はすげーわかってるんじゃなかろうか

と…

わかったうえで、自分を要求を押し通すために、可愛さを利用しているのではなかろうか

と…

 

それに気づいた瞬間、私は戦慄した。

もしかしてヤツの行動は全て、計算ずくだったというのだろうか。

だとしたらなんという小悪魔。

 

我が家の息子の場合

・おっぱいを飲んでいるほっぺたが犯罪級

私は右のおっぱいが詰まり気味で、詰まりかけると授乳の度に結構な激痛が走るのだけど、

ヤツのほっぺを見てしまうと何故か「痛いくらいなにさ」という気持ちにさせられてしまうのだ。

恐るべしほっぺた。

「んくっ…んくっ」をかわいく見せるために、ヤツはほっぺに肉を付けたに違いない。

さらに、一息つくときにこちらの目を見ながら「ほぅ」というため息にとどめを刺してこようとする。

わざわざ目を合わせてからため息をつくところがポイント。

(最近は飲んでる最中にこっちを見て、目が合うとにやぁっとするオプション付で、それはちょっと、かわいいと言っていいか悩むところなんだけど)

 

・目があった瞬間の満面の笑み

他の部屋でなんかしてるとグズり出す。放置しても、諦めずグズってる。

このグズりも卑怯なの。

泣く一歩手前というか、、、「泣くぞぉ?このまま放置したらな泣くけどいいんだね?」という声を出す訳。それが腹立つくらい気になる、母の悲しい性。

仕方ないから手を止めて顔を覗き込むと、びっくりするくらいの満面の笑みを見せてくる。

…彼氏を振り回す、わがままな彼女かなにかかね、君は

(ちなみに放置し過ぎてグズりから本気泣きになると、たぶんなんで泣いてるかを忘れてギャン泣きになるので、私は適当なタイミングで彼の元へ馳せ参じなければいけない)

相手の都合などお構いなし、笑顔さえ見せれば全て自分の思い通りになると知っているとしか思えない悪魔の所業である

 

・お話ししようとする

人の顔を見ると、いろんな声を出して話しかけてくる。注目されたくてしかたのないお年頃のようだ。

あーとかはうぅとか甲高い声で注意を惹き、

合間で笑顔を見せてみたり、

一生懸命さをアピールしてみたり、

手足を一緒に動かしてみたりするのだ。

 

ちなみに、この罠にひっかかるのは私だけではない。

夫やじじばばが面白いくらいに釣れる。まさに入れ食い状態。

最近は「あくぅん」という必殺技で、仕事へ行こうとする夫の腰をくだく。

 

・寝顔の破壊力

どうも表情や顔の角度、手の位置を計算しているような節がある。

なぜなら私は知っている。

夕方ギャンギャン泣いた後、我慢できずに眠りに落ちる腕の中、ヤツは白目を剥いている。

白目を剥き、口を半開きにして眠気に対抗して、結局我慢しきれずに寝る。

その姿は、我が子ながらびっくりするくらい可愛くない。

なのに、昼間に寝る時、そしてお客様の前で寝るとき、

すやすや、という単語が似合う姿をしている憎たらしいヤツな訳だ。

 

ただしヤツは詰めが甘い。

かわいらしい寝姿を披露している=寝てない、もしくは眠りが浅い訳なんだが

それは母にはバレバレなのである。

なぜならヤツは、人が自分の寝姿をちゃんと見ているのか、時々薄目を開けて確認するからだ。

もう寝たかな?とベッドに降ろそうとする時、

寝てるから、と本とか読んでいる時、

気づくとヤツは目を開いてこちらをじっと見ている。ちょっと怖い。

 

以上、丸一日息子を観察していて確信した。

ヤツは…わかってやっている…。

私は騙されていたのだ。

計算された可愛さなどなんの魅力もないわ!と鬼の形相を作って息子を覗き込んだら、

きょとん、という表現がぴったりの顔をした息子が私を見上げていた。

…。

……。

………。

その手に乗るかコノヤロウ!と言いながら、息子のほっぺたに頬ずりする情けない30歳に成り果てた瞬間でした。

 

結論:赤ん坊の演技力はアカデミー賞もの。ただし親にしか通じない。

たぶんうちの息子は「うちの親ってマジちょれー」くらい思っている。絶対。

 

 

 

まぁでも真面目な話をすると、

赤ちゃんが可愛くなかったらマズイよね、と思うのである。

だってさ、

お金も体力も時間も睡眠も削って奉仕しなければいけない相手が可愛くなかったら、それはもう悲惨以外の何物でもないじゃないですか。

母親なら育てるのが当たり前。子供を愛するのが当たり前。

確かにその通り。

でもさ、人間だもの。

可愛いもんは可愛いし、可愛くないもんは可愛くないじゃん。

義務感だけじゃ続かないし、無理に続けたらママが壊れちゃうわ。

私はまだ2ヶ月しか育児してない。なのに、その2ヶ月で思い知った。

もうね、100%子供な訳。子供優先、子供と一心同体。自分というものを軽く見失いがち。

まだたった70日。首も座ってもいない乳児にこんなにも振り回されっぱなし。

これから何年もこれが続き、さらに動き出したり話し出したり、反抗し出すのかと思うと気が遠くなるのだけれど。

なんで続けるかっていうと、もう最終的には、可愛いから。としか言いようがないのじゃなかろうか。

自分が産んだという無条件の愛と、他に誰もしてくれないという諦めと、守らなきゃという義務感。

それらを持ってしてもどうにも我慢ならない時に、

このぷくぷくほっぺやむちむちの手足、つぶらな瞳が

「もぉー、仕方ないなぁ」

と思わせてくれるのかもしれない。

 

考えてみりゃ、赤ん坊だって必死よね。

自分じゃ動けないんだから、お母さんにおっぱい(ミルク)貰ってオムツかえてもらわなきゃ生きてけない。

つーか死活問題?

そんな時に、クールだったりツンデレだったりしてる場合じゃない。

お母さんに可愛く思って貰った方がお得という訳だ。

なるほど…と、ちょっと納得。

 

したらさ。

赤ん坊が可愛いってのはさ、

赤ちゃんの生きるための防衛本能なのか、

それとも母親が見ると可愛く見えるようになっているのか、

いったいどっちなんだろう?

 

というような事を切々と自分の母親に語ったら、

「どっちでもいいわよそんな事。あんた暇ね」

と一蹴された。